大学院の特色

設置の趣旨・目的

―大学院地球環境学堂・地球環境学舎・三才学林設立の趣旨・特色―

地球環境問題は、20世紀社会が解決できずに21世紀に受け継いだ人類的課題です。先進国を筆頭に人類は「豊かさ」と「利便性」を追求してきましたが、大量生産、大量消費、大量廃棄社会を生み出し、その結果、地球気候変動、オゾン層破壊、水質汚染、土壌・地下水汚染、廃棄物問題等が発生しました。途上国は、先進国の後を追って同じく「豊かさ」と「利便性」を追求しており、途上国の人口増加を合わせて考えると地球環境へのストレスは増加の一方にあります。また、農業、水産業、鉱業等の一次産業の収奪的方法は、これらの産業を基礎とする途上国に危機をもたらしています。最貧国は、貧困を克服し大多数の国民の人間的生活の確保が求められています。これらの状況をまとめて国連は、「持続可能な開発」を先進国、途上国、最貧国の共通理念にした人類の新たな発展の道を見出すことを呼びかけています。その一つの方途として、日本・ヨーロッパなどの工業先進国は資源循環型社会経済を目指して動き始めました。

地球環境問題は、地球規模の問題から地域レベルの問題まで、課題の内容は複雑多岐に渡っています。地球環境問題の解決には、科学の対象としての真理探求の側面と、問題を解決するべき実践的側面の双方が要求されます。第一の側面からは、地球環境問題の複雑性と広がりを従来の基礎科学の上に立って展望し、学問としての先見性と深淵性を持った新しい「地球環境学」を開拓しうる高度な研究者の養成が要請されます。第二の側面からは、地球環境を持続可能な形態で改善維持経営する能力を有し、具体的問題を解決しうる高度な実務者が必要となります。

このような人材を養成するには、従来の文系・理系の教育体系を継承しながら、地球環境の広範囲の学問領域を理解し、それらの本質的理念を地球環境学に発展させる新たな学問の教授、および国内外実践場での応用体験を組織的に行い、実践的技法を教授する教育・研究システムを具現化する必要があります。

京都大学大学院地球環境学舎は、これらの研究と教育の多様な要請に応える柔軟性のある組織を構築しています。組織の特色は以下の通りです。

大学院の特色

研究組織、教育組織、および教育・研究支援組織の分立

地球環境学は生成期にあります。

研究面では、そのダイナミックな展開のために、戦略的な先見性と学際性、柔軟性が必須です。一方、教育面では、関連する学問分野にわたる着実かつ重厚な教科内容と、先端性、社会性をもった安定的研究指導が必要です。

このような研究面と教育面における異なった要求を満たすため、京都大学大学院地球環境学舎は研究組織「地球環境学堂」と教育組織「地球環境学舎」とを分立した独自の構成をとります。さらに、教育・研究支援組織「三才学林」を置くことにより、学堂・学舎における活動が専門領域のみに偏ることなく広い視野を持って調和的に展開する体制をとっています。

学内協働分野・学外諸機関との連携体制

大学院地球環境学舎は、既存専門基盤と地球環境学の双方をつなぐ学際的研究・教育を行うため、様々な京都大学内の大学院との連携により運営しています。

そのために、「協働分野」という仕組みを採用しています。「協働分野」の教員は、既存研究科・研究所・センターに属しながら、地球環境学舎の学生に講義科目を提供するとともに、学生の希望する専門性に沿って修士、博士論文指導も行います。さらに、客員制度の充実による学外の国立研究所をはじめとする、国内外の諸機関との連携・交流も図っています。

また、地球環境学では単に学内での専門教育だけではなく、NGO活動、NPO活動や国際協力活動など多様な内容での、多様なセクターとの連携を通じて、現実の問題を体験的に習得する体制も整えています。

全学的なプロジェクトの遂行

既存の関連諸科学とは大いに異なる、融合型学問研究を実現するためには、これまでの既存研究科・研究所等において、それぞれの分野に関連した環境学の研究教育経験をもつ地球環境学堂の教員が関連する他研究科・研究所の教員と共に、集中的かつ濃密に共同のプロジェクトに従事することが必要です。このような全学的な研究プロジェクトへの参画、貢献も活発に行っています。

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