第39回嶋臺塾を開催しました

第39回 京の景色を辿る

日  時: 平成29年8月28日(月)午後6時~8時
京大から:「京の山辺」
      山口敬太 氏(京都大学大学院工学研究科 准教授)
洛中から:「京の並木」
      片山博昭(元・京都市緑政課長)
司  会: 深町加津枝(京都大学大学院地球環境学堂 准教授)
協  力: 嶋  臺 (しまだい)

 暑い日が続きますが、京都の大路小路の木々の緑は、行き交う人に涼やかな陰を落としてくれています。皆さんは、京都の街路樹をしみじみ眺められたことはございますでしょうか。京大の近くでしたら、御影通の槐(えんじゅ)並木や白川通の欅(けやき)、加茂街道の緑のトンネルなどがあります。京都の街路樹は本当にきれいですね。嶋臺さんの前の御池通の街路樹も見事です。
 京都は、すばらしい庭園や建築が点在して、名所も多いですが、それだけでなく、街の景色そのものも美しいものがあります。東山の山影、鴨の流れ、大路小路の佇まい、等々。京都の景色の特徴はどんなものなのでしょうか、京都の景色が今のものとなったというのは、果たしてどういういきさつなのでしょうか。
 今回は、京都の景色の中でも山辺(やまのべ)と並木をとりあげました。山辺は、山と街との間にあって、生活と自然、生と死が交わる場所として、古来より京都独特の風情を作り上げてきました。工学研究科の山口敬太さんからは、平安から近世を経て今に至るこうした京都の山辺の景色が、地形や水の流れの利用といった観点から紐解いてもらいました。
 並木については、京都市で長年にわたり街路樹を手掛けてこられた片山博昭さんにお越しいただき、京都の道路の森づくりについてご紹介いただきました。片山さんは、日本造園修景協会という団体の京都支部長も務めておられ、「街路樹文化の創造」を掲げておられます。京都の街路樹の美しさは、もちろん、京都の景観行政の成果でもあるのでしょうが、門掃きをはじめとした京都のみなさんの日々の努力や美意識に支えられたものなのだそうです。日頃私たちが何気なく見ている街路樹がなぜ現在のようなものになったのかという経緯とともに片山さんを始め街路樹に関わる人たちの思い入れを強く感じた今回のお話でした。