第21回地球環境フォーラムを開催しました(2015年2月14日)

第21回京都大学地球環境フォーラムを「防災分野における国際協力の実践」と題して、京都大学百周年時計台記念館国際交流ホールIにて、2015年2月14日に開催した。近年世界各地で多様な自然災害が発生し、多数の犠牲者および大きな社会・経済的な損失が出ている。そうした中、日本はこれまでに培った災害経験や科学技術をもとに、国際支援を実施しており、その具体的な事例紹介と今後のあり方を考えようとの趣旨である。以下の3つの講演を受け、総合討論を行った。

‐岡﨑健二(地球環境学堂教授)「世界の災害と国際的な取り組み」

‐楢府龍雄(国際協力機構国際協力専門員)「甚大な地震被害を引き起こす途上国の現状とJICAの取組の概観」

‐田中茂信(防災研究所教授)「世界の洪水と水災害・リスクマネジメント国際センターの国際貢献」

 岡﨑教授は、世界で起きている多様な災害と死者を出す要因を紹介し、特に地震災害は予知が困難で、途上国に多く見られるノンエンジニアドの建物構造が甚大な人的被害をもたらしていることを強調した上で、災害軽減のための国際的な取り組みを紹介した。楢府氏は、世界の地震災害を紹介した後、JICAが実施している地震被害を軽減するための技術開発、防災計画の策定や人材育成等の様々な取り組みや、一般のシニアボランティアの活動事例などを紹介した。田中教授は、世界の洪水災害を紹介した後、日本政府がUNESCOとの連携により開設したICHARM(水災害・リスクマネジメント国際センター)が取り組んでいる、途上国での洪水予警報システム開発と人材研修を紹介した。

 今回のフォーラムには高校生も多数参加しており、総合討論では巨大災害が増加している理由や気象災害の増加と温暖化との関係といった質問からコミュニティ防災に必要な要素といった専門的なものまで、様々な質問が出された。また、災害を減らすためには何が重要か、私たちができることは何かといった質問もあり、議論がなされた。今回は、防災に対して技術的側面からの講演が主であったが、開発途上国においては、日々の生活に困窮していて防災にまで手が回らない現状がある中で、現地の日常に根差した適切な技術による防災の取組の重要性も議論された。

 

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