第22回嶋臺塾を開催しました

第22回  京から食をみなおす

日   時 : 平成23年12月7日(水) 午後6時~8時  
場   所 : 嶋臺本陣ギャラリー
学堂から  :「食が支えるお腹の共生系」 谷 史人 (地球環境学堂 教授)
南禅寺門前から:「とうふ処 京都のこれから」 おかべ家 上田 成人 氏 (とうふ家)
司   会 : 松本 泰子 (地球環境学堂 准教授)
主   催 : 京都大学 地球環境学堂・学舎・三才学林
協   力 : 嶋臺 (しまだい)

第22回嶋臺塾は、2011年度2回目ということで、「食」がテーマとなりました。学堂の谷さんからは、食と腸内細菌との関係についてお話しいただきました。人間のお腹の中には、300~500種類の腸内細菌がいて、その数は、宿主である人の細胞数よりもたくさんなのだそうです。どんな腸内細菌が棲みつくかは、何を食べているかで決まるのだそうですが、これは人の生体防御や消化機能と深く関わっているので、お腹の中から食べるものを考えることも大切だというお話でした。洛中・南禅寺門前からは、とうふ家の上田さんから、とうふの歴史とこれからのとうふについてお話いただきました(「とうふ家(toufu-ka)」は、上田さんが考えた、とうふの可能性に挑むひとの意をこめての呼称)。中国で生まれて、遣唐使によって日本に伝えられたとうふは、京都のお公家さんや寺社の厳しい要望に応えながら、江戸時代には、その製造技術が究極にまで洗練されたのだそうです。しかし、一時は全国5万軒に達したとうふ屋さんの数も、現在は1万軒にまで減少してしまいました。これからの日本の食の中で、どのようにとうふが生き残っていくかについての柔軟な発想と実践の必要性について、とうふ家のお立場からのご自身の取り組みも交えての、熱い思いをお聞かせいただきました。お二人の対談では、「とうふがお腹によいことは、長年食べてきた日本の誰もが知っているが、そのことについて、現代科学はどのような言葉で語っているのか?」との上田さんの問いに、それこそ現在進行中の大切な研究テーマであるとの答え。結果が期待されます。何を食べてきたかでお腹の中が決まり、お腹の中しだいで何を食べるべきかが決まる、ということで、食を、機能性からだけでなく、文化として考えることがのぞましいということを再確認し、とうふと日本人の関係を改めて考えさせられました。会場からも、自分の腸内細菌を心配した質問や、とうふについての素朴な疑問など、多数の質問が出て、和やかで活気のある集いとなりました。(吉野章)

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