7月6日に行われました地球環境フォーラムにおいて、多くの質問がございました。ご参加くださった皆様、ありがとうございました。
数ある質問の中で4つのみ、回答を掲載いたします。
すべてにお答えしたいところですが、どうかご了承ください。
○どうすればN過剰の過栄養土壌を解決できるか?
●適正量の施肥だと思います。作付け前に土壌の窒素量を測定して、一作に必要な窒素量から、土壌窒素量を引いて施肥することが大切です。また、堆肥も必要以上に投入しないことが大事です。適切な施肥によって、地下水、陸水、内海への栄養補給も可能だと思います。
○窒素肥料による漁獲量への悪影響はありますか?
●適正な富栄養化は漁獲量を向上させますが、過度の富栄養化は低層の酸素欠乏や生物相の変化を介して漁獲量を低下させるのではないかと思います。
○堆肥の肥効に関して人間のし尿ではどのような(どのくらい)効果があるのか?
特に途上国では人間のし尿処理が問題になっていると思うのでよろしくお願いします。
●尿はとても有効な窒素肥料です。糞もよい肥料になりますが、寄生虫や伝染性病原菌の問題も内包していますので、窒素肥料として利用するべきなのか、汚水処理で有機物を分解するのがよいのか、人口密度や窒素肥料の価格なども加えて総合的に判断する必要があると思います。
○残留Nの蓄積の影響はアオコの発生等生態系への悪影響があるのだと思いますが、より進めばどんな事態がどれくらいの時期に起こると考えられますか?
またそれをさけるために今何ができるのでしょうか?
●富栄養化によって生物相が変化しています。この生物相の変化が、人の健康にどのように影響するかよくわかりません。よい方向に向かうことはまずないので、影響が少ないか、大きいか、例えば、伝染病の病原菌の生育にとって有利になる可能性、などが考えられます。このように、富栄養化の影響が分からないので、まずは富栄養化を現在の範囲にとどめることが大事なのではないかと考えます。富栄養化を押しとどめる方策はいろいろ提案されていますが、そのコストをどうまかなうのかのコンセンサスがとれないので、対応ができないという状態です。