第32回嶋臺塾を開催しました

第32回 商う ということ

日  時: 平成27年3月3日(火)午後6時~8時
洛中から:「祇園商店街に商う」
      三好 通弘 氏(祇園辻利 五代店主)
京大から:「近江八幡に商う」
      清水 夏樹(森里海連環学教育ユニット 特定准教授)
司  会: 籠谷 直人(地球環境学堂 教授)
協  力: 嶋臺(しまだい)

 

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先端の地球環境学の成果の地域の生活ことばで練り直すことで、新たな美意識や生活作法をさぐることを目的として、毎年3回開催している嶋臺塾ですが、今回は第32回で、「商い」をテーマとして開催しました。

洛中からは、祇園辻利の会長さんである三好道弘さんにお越しいただきました。 辻利さんは、辻利右衛門さんが玉露を完成させたことで有名です。三好さんは、戦中、台湾で商っておられ、戦後、引き上げてこられてから、現在の祇園のお店を開かれます。当時、花街であった祇園は、商店街としては賑わいに欠け、これを振興することから始めねばなりませんでした。1970年代 には、お茶の消費が清涼飲料水に押され、お茶自体の売り方も考えなければなり ませんでした。三好さんは、「茶寮 都路里」という甘味処を始められて、これが成功します。商工会議所の立場では、様々な反対に遭いながらも、祇園商店街のアーケード化、京阪電車の地下化に尽力されました。「お茶」そのものについて、戦中から戦後にかけての変遷の中で、お茶の商いをとおして感じられた人や 嗜好の変化、商いにおいて、それが置かれている場とともに賑わうことの大切さなどについてお話しいただきました。

京大からは、学堂と関連の深い森里海連環学教育研究ユニットの清水夏樹さん にご登場いただきました。清水さんには、現在、このユニットが連携している近江八幡のお菓子屋さん「たねや」さんの取り組みをご紹介いただきます。たねやさんの商いも、自らのお店の繁盛のみを考えるのではなく、一店舗の枠を超えて、お店が置かれた場の振興を目指しておられます。そうした点では、三好さんのとりくみと共通していますが、こちらは商店街ではなく、近江八幡の地域や自然環境と共存・共栄を図る取り組みが中心となっています。環境と調和した地域づくりに、これからの商いのありかたを模索しておられるところだそうです。京大の森里海連環学とは何か、そのの立場から、こうした今時の商いをどのように評価できるのか、そしてどう協働できるのかについて解説をいただきました。

学堂の籠谷さんの司会に、三好さんと清水さんという味わいのある組み合わせで行われた今回の嶋臺塾、当のたねやさんからの発言もあり、また、三好さんの人柄についてのエピソードを紹介される方もおられるなど、いつもとは少し違った雰囲気の中、終止和やかに、これまでとこれからのの商いについて語り合うことができました。

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