環境マーケティング論分野M2の小田実紀さんが、下水道研究発表会のポスターセッションで最優秀賞を受賞しました。

第55回下水道研究発表会が、7月26日北九州総合展示場(北九州市)で行われ、地球環境学舎M2(環境マーケティング論分野)の小田実紀さんが、ポスターセッション(英語部門)で最優秀賞を受賞しました。
小田さんは、「Risk communication about recycled water: How do people realize and agree using recycled water?」というタイトルで、沖縄県糸満市で検討されている下水の農業への再利用についての市民向けリスクコミュニケーションに関する研究成果を発表しました。
糸満市は、沖縄県の中でも特に野菜や果物の生産が盛んですが、慢性的な農業用水不足に苦しんでいます。毎日安定的に供給できる下水を農業生産に利用できれば、新たなダム建設に頼ることなく、水源を確保できます。この再生水は、京都大学の田中宏明研究室で開発されてきた下水処理水の浄化システムによって生産され、食中毒の心配のないきれいな水ですが、下水に由来するというイメージから、再生水を利用して栽培した農産物を消費者が避けるのではないかと懸念されています。
環境マーケティング論分野では、これまでその影響を定量的に分析し、消費者が再生水について知れば、そうした影響はほとんどないだろうという推定結果を得ています。しかし、どうすれば「消費者が再生水について知る」ことができるかが、まだ手付かずでした。
小田さんは、地球環境学舎のカリキュラムとして行っているインターンシップの一環として、糸満市役所のロビーに、再生水を使った水槽や水耕栽培キットを設置することで、消費者の関心を集め、そこから再生水についての具体的な説明にどれだけの人が誘導できるかを測りました。
農業に再生水を利用するケースは日本でも増えてきましたが、そのほとんどが風評被害を心配して、そのことをアピールする例はほとんどありません。ポスターセッションでは、そうした課題を抱える自治体の人も含め、多くの人の関心を集めていました。

日本下水道新聞2018/08/01