本講演会は、「減災の観点から樹木根系の広がりを非破壊的に推定する方法の確立（科研費JP25252027）」の研究内容と成果を広く一般に公開するために開催された。
　講演会では、プロジェクト代表の名古屋大学環境学研究科平野恭弘准教授による講演「樹木の根を掘らずに視る」のあと、プロジェクトメンバー（森林総合研究所関西支所谷川東子、京都大学地球環境学堂檀浦正子、兵庫県立大学環境人間学部大橋瑞江・池野英利、兵庫県立農林水産技術総合センター山瀬敬太郎・藤堂千景）より 地中レーダと樹木根に関するトピック紹介が行われた。ポスター発表では、上記のトピック研究のほか、国土交通省六甲砂防事務所、兵庫県治山課、兵庫県豊かな森づくり課、神戸市防災課からの合計３９件の発表があった。午後は神戸大学金澤洋一名誉教授、兵庫県農政環境部環境創造局豊かな森づくり課長小野山直樹氏、国土防災技術株式会社田中淳氏、樹木医会兵庫支部安田邦男氏を招き 「減災のための樹木根研究」をテーマにパネルディスカッションを行った。現地見学会として、レーダ探査の実演見学および六甲山森林整備戦略の紹介を行った。
　当日は国・県・市など行政機関や研究機関、民間企業関係者、樹木医、一般から１００人近い参加者があり、地中レーダを用いた樹木根探査技術の実用化にむけて活発な議論が行われた。また講演会や現地見学会を通して多くの質問と今後の要望が寄せられ、樹木の根系を対象とした本研究およびこれらの技術開発について、広く関心が高いことを感じさせられた。