地球環境学堂と工学部地球工学科環境工学コースの併催で開催された第39回京都大学環境衛生工学研究会シンポジウムは、環境工学関連分野の最新の研究・実務の成果、その他取り組みについて発表し、意見を交換し、同分野の人材の交流を促進するための毎年開催のシンポジウムです。本年は、7月28 日および29日の2 日間にわたり、京都大学時計台百周年記念館国際交流ホールを中心に、同分野の研究者、実務者、学生計167名が参加しました。
シンポジウムの企画セッションでは、「廃棄物不法投棄対策を考える」と題して、香川県豊島や岩手・青森県境における廃棄物不法投棄問題への取り組みを例として、4名の講師からの講演がありました。
中西氏 (香川県廃棄物対策課)からは、豊島問題が起こってからの取り組みの経緯について、映像を交えた発表をいただき、フロアからは、直島での廃棄物処理の承認が得られた決め手や、廃棄物輸送船の今後の使用に関して、活発な質疑応答がなされました。阿部氏 (杵築技術士事務所)からは、豊島問題における取り組みについて、廃棄物処理に焦点を当てた発表をいただきました。豊島廃棄物処理事業での最大の功績は、情報開示を積極的に行ったことであることが強調され、フロアからは、不法投棄が起きた原因などに関して活発な質疑応答がなされました。颯田氏 (岩手大学教授)からは、青森岩手県境不法投棄事件に関して、その経緯や現状についての発表をいただき、フロアからは、県同士での協力や処理方法決定の経緯に関して、活発な質疑応答がなされました。米田氏 (京都大学教授)からは、リスク評価からみた浄化目標設定の在り方について、特に豊洲新市場での事例を交えた発表が行われ、フロアからは地下水基準と水道水基準の関係に関するコメントがなされました。パネルディスカッションでは、活発な質疑応答が行われ、不法投棄を今後減らすためには?との質問に対しては、罰金を上げて抑制力をあげる、教育をしっかり行う等の回答がありました。また、ドローンによる上空からの不法投棄監視に関する意見もありました。
このほか,一般セッションにおいて,水処理,水環境,水質汚濁、廃棄物、環境管理、環境浄化、および大気汚染、地球環境問題に関する25件の口頭発表,ショートプレゼンテーションとポスターセッションを組み合わせた18件のハイブリッド発表が行われ,活発な討議が行われました。