第29回嶋臺塾を開催しました

第29回 地をおおうものの現在(いま)

日 時 : 平成26年3月 19日(水)午後6時~午後8時
学堂から:「身近な大気汚染」 梶井 克純  (地球環境学堂)
信州から:「小さな苔の世界」 大石 善隆 氏 (信州大学農学部)
洛中からひとこと:「苔を思う心」阪上 富男 氏 (庭師)
司 会 : 今西純一(地球環境学堂)
協 力 : 嶋臺(しまだい)

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第29回は、「地を覆うものの現在(いま)」と題し、3月19日に開催しました。学堂からは梶井克純さん、信州大学から大石善隆さん、洛中からは庭師の阪上富雄さんにご登壇いただきました。

梶井さんからは大気汚染のお話をいただきました。日本では、有害な対流圏のオゾンが、発生の原因とされてきた有機化合物が減っているのに、最近じわじわ増えてきている。梶井さんは、レーザー光線による有機化合物の計測機械を自作され、未知の原因物質を探っておられます。そでわかったことが、大気汚染の原因となる有機化合物を最も大気中に排出しているのは、なんと植物でした。人間活動の10倍ぐらいを植物が出しているのだそうです。しかし、だからといって木を切り倒してしまえという話にはならないわけで、要は、我々がゼロエミッションの世界を目指すうえで、汚染物質を減らす経路というのがあって、単純に、例えば窒素化合物だけを減らせばよいということではない、というお話でした。

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 大石さんからは、苔の話を聞かせていただきました。日本の庭には欠かせない苔ですが、苔を愛でる心というのは、じつは外国ではあまりなく、日本でも苔で有名な庭は京都に集中するのだそうです。苔は、陸に上がった最初の植物で、葉を覆うクチクラがありません。その葉を拡大してみるとほとんど色がありません。苔は、維管束を持たず、気孔も持ちません。葉から直接水や養分を吸収、呼吸も行っています。こうした苔の性質は、大気の湿潤や汚染に敏感であることも意味します。苔は、自身の10倍ぐらいの水を吸収し、庭や森の水分を涵養します。森の更新にも重要な役割があります。小さな生物の生育環境でもあります。同時に、苔は環境の変化にとても敏感な植物でもあります。京都では、お寺や鎮守の森などで、貴重な苔が大事にされてきました。そうした苔をもっと知り、馴染みをもってもらえれば、といったお話でした。

また、庭師の阪上さんからは、お二人の話への感想とともに、日ごろ庭園のお仕事をされている立場から、京の山の端の景色や庭の草木のの魅力や、苔との関わりをご説明いただきました。また、会場との対話では、最近気になるPM2.5の話や、ガソリンの揮発、屋上緑化のあり方、季語としての苔など、多方面からの話題が出され、地上に暮らす私たち自身の環境を改めて考えた2時間でした。

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