第36回京都大学環境衛生工学研究会シンポジウムを開催しました。(2014年7月31日・8月1日)

 本シンポジウムは毎年開催される,環境工学関連分野の最新の研究・実務の成果,その他取り組みについて発表し,意見を交換し,同分野の人材の交流を促進するためのシンポジウムである。本年は,2014年7月31日および8月1日の2日間に渡り,京都大学百周年時計台記念館国際交流ホールIIおよびIIIにおいて,同分野の研究者,実務家,学生による計137名開催された。

 シンポジウムでは,特別講演(コーディネーター:高野裕久京都大学環境衛生工学研究会会長)として,兵庫医科大学公衆衛生学の島正之主任教授により「微小粒子状物質(PM2.5)の健康影響に関する疫学研究」と題した発表が行われた。近年関心の高い環境課題であるPM2.5に関して,環境工学とも関連の深い疫学の分野からの最新の知見が報告された。

 水の憲法とも言われる水循環基本法の2014年3月の成立を踏まえ,「水循環基本法とわが国環境問題のゆくえ」と題した企画セッション(座長:伊藤禎彦京都大学教授)が開催された。松井三郎京都大学名誉教授・水制度改革国民会議理事長より,「水循環基本法の成立と今後」と題した基調講演が行われ,その後,松井名誉教授,坂本弘道一般社団法人日本水道工業団体連合会顧問,田中宏明京都大学教授,清水芳久京都大学教授をパネリストに,井林辰憲衆議院議員をコメンテータに迎えたパネルディスカッションが行われ,水循環基本法成立の経緯,これからの水分野の行政・研究の課題等についての意見交換を行った。

 海外で活躍する研究者を招いての国際セッション(座長:山下尚之京都大学講師)では,アイダホ州立大学土木環境工学科の佐藤元志教授による「Electricity Generation from Potato Processing Wastewater Using a Multiple Anode-Plate Microbial Fuel Cell」と題した英語での発表がおおなわれ,佐藤教授の長年にわたるバイオ燃料電池に関する研究が最新の知見とともに紹介された。

 このほか,一般セッションにおいて,上水道,水処理,水環境,廃棄物および地球環境・環境リスクに関する24件の発表,ポスターセッションにおける11件の発表が行われ,発表後には活発な討議が行われた。