第21回嶋臺塾を開催しました

第21回 京のしまつ・世界のしまつ

日   時 : 平成23年7月6日(水)午後6時~8時
場   所 : 嶋臺本陣ギャラリー
挨   拶 : 前 一廣(三才学林長)
学 堂 から: 「しものふん別」原田 英典(地球環境学堂特定助教)
洛中洛外から: 「京のこやし咄」森谷 尅久氏(歴史家 )
司   会 : 藤田 健一(地球環境学堂)
主   催 : 京都大学 地球環境学堂・学舎・三才学林
協   力 : 嶋  臺(しまだい)

2011年度は、私たちのくらし(衣・食・住)をテーマにとりあげ、3回開催する予定です。最初の7月6日は、生命活動にともなう排泄物という大切なことにもかかわらず、日頃話題に上ることの少ない「しものしまつ」の話でした。 まず、前一廣三才学林長の挨拶のあと、学堂の原田英典さんから「しものふん別」と題してお話がありました。し尿を分別し、かつて日本でも利用していた下肥のように農業循環はできないか、尿から貴重な資源であるリンをうまく回収できないか、などいくつかの問題提起がありました。そして、東北の被災地の復興の一助として設計された緊急用し尿分離型トイレについて臨場感あふれる報告。その中で、トイレの問題は、衛生の確保の問題であると同時に、人間の尊厳の確保の問題であるという原田さんのご発言が印象に残りました。  ついで、洛中洛外から歴史家の森谷尅久さんの「京のこやし咄」と題するお話がありました。京の中心部のし尿を肥桶に入れて農村へと運搬して資源活用し、逆に農村からは野菜が供給されるなど、中世の京都と周辺地域との間で権利関係とともに確立していた、し尿を基軸とする循環システムについて貴重なお話をうかがいました。  最後に、会場にお越しいただいた70名を超える方々と活発な意見交換がありました。土壌の専門家からは、下水処理インフラを一から作り直す必要に迫られている地域だからこそ可能な、し尿を分離してリンを回収するシステムを東北の被災地の復興に組み入れることを考えるべきとのエールをいただき、拍手が沸き起こりました。(松本泰子)

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