平成28 年9 月20 日~23 日、京都リサーチパークにおいて、「第9 回 燃焼、焼却/熱分解、排出、気候変動に関する国際会議(9th i-CIPEC)」が地球環境学堂の共催により開催されました。本国際会議は、2000年に第1回が韓国・ソウルで開催され、2002年に韓国・済州島、2004年に中国・杭州、2006年に日本・京都、2008年タイ・チェンマイ、2010年にマレーシア・クアラルンプール、2012年に韓国・ソウル、2014年に中国・杭州で、アジア圏を中心に計8回が開催され、第9回は、日本、京都で10年ぶりに開催することとなりました。議長は、京都大学環境安全保健機・環境科学センター 酒井伸一教授と地球環境学堂 高岡昌輝教授が共同で務めて行われました。
本国際会議の目的は、廃棄物熱処理を中心としたトピックに関連して、世界の研究者、工学者の最新の研究成果や経験を共有するためのプラットフォームを形成し、先進国および発展途上国の環境保全に貢献することにあります。具体的なトピックとしては、都市ごみや産業廃棄物の熱化学的なエネルギー変換(燃焼、焼却、熱分解/ガス化→電気・熱エネルギー等)、リサイクルを主な対象としている。さらに、近年、化石資源の枯渇や、CO2排出削減への対策として再生可能エネルギーの重要性が高まってきており、廃棄物系バイオマスのエネルギー利用技術も対象としています。
参加者数は、9か国から、247 名(日本:143名、韓国:47名、中国:38名、タイ:7名、台湾:6名、ドイツ:3 名、カナダ:1名、イタリア:1名、ベルギー:1名)でした。
まず、9月20日に水俣条約を中心として世界的にもホットな話題となっている水銀を対象に、「Challenges in Mercury Waste Treatment/Disposal:水銀廃棄物の処理・処分」といったタイトルのプレワークショップが開催されました。Workshopでは、8名の国内外、国際機関の研究者より、各国の水銀のフローや水銀廃棄物の取り扱いにおける最新の取り組みに関する情報が報告されました。当日は台風16号が日本を直撃したにも関わらず、70名ほどの参加者があり、最後に実施したパネルディスカッションでは会場からの質問・コメントも含め活発な意見交換がなされました。
9月21日~22日には、i-CIPECの本会議が開催されました。口頭発表は2日間で、4会場で行われ、5件の基調講演のほか、合計24セッションで、廃棄物等の、燃焼、焼却・熱分解や、有害物質の排出、それらが温暖化や健康影響に与える影響に関するトピックを中心として、国内外の研究者や教員、学生から96件の発表がなされました。また、ポスターセッションは、22日の午後に約2時間の枠を設けて、61 件の発表が行われました。これらのセッションにおいても、各自の研究成果の熱心なプレゼンテーションと、質疑応答、ディスカッションがなされました。
これらの発表のうち、優れた口頭発表、およびポスター発表を行った若手研究者は、それぞれ Outstanding Oral Presentation(計6名:日本2名、韓国1名、中国2名、タイ1名)およびOutstanding Poster Presentation(計4名:日本2名、韓国2名)として表彰されました。これらの受賞した口頭、ポスター発表は、特に研究が斬新で、その必要性、貴重な成果が的確に聴衆に伝えられていたように感じられました。
最終日の23日は午後から、テクニカルツアーとして、Aコースと、Bコースに分かれ、京都市内および近郊の環境施設の施設見学をおこないました。Aコースでは、焼却施設を中心として、京都市東北部クリーンセンター:都市ごみ焼却施設と、京都市鳥羽水環境保全センターの汚泥焼却施設を見学しました。Bコースでは、廃棄物のバイオリサイクル技術を中心に、南丹市のカンポリサイクルプラザにおける廃棄物メタン発酵施設と、京都市のバイオエタノール製造実証設備を見学しました。両コースともに、特に海外の研究者からの熱心な質問がなされ、貴重な機会となりました。
本会議は4日間にわたって開催されましたが、すべての研究者が一つの会場に集まり、アジア諸国や欧州の研究者を中心に活発な意見交換や親睦を深めることができました。なお、次回の 10th i-CIPECは2018 年3 月にタイ、バンコクで開催される予定です。多数の研究者の参加を期待します。
口頭発表後のディスカッションの様子
ポスターセッションの様子
ウェルカムレセプションでの参加者集合写真
カンファレンスディナーでの舟川学堂長の挨拶
テクニカルツアーの様子(京都市 東北部クリーンセンター)